英語能力を測定するための試験は日本英語検定協会の実用英語技能検定(以下英検)、TOEICを筆頭とし、TOEFL、IELTSなど数多く存在しています。これらの試験は主旨が違うため、単純に比較はできないものの、やはり英語学習者としては各種英語能力試験の難易度は気になるところではないでしょうか。同じ英語試験なのにものすごい種類の試験があるため、単純に比較することは難しいです。実際にインターネットで検索してみると、スコア対照表や英検、TOEICなどの難易度表などは見つかるものの、すべてを網羅しているサイトは見つけられなかった。そこでここでは、各種英語試験の難易度を様々なサイトの情報などをもとにまとめ、また自身の受験経験をもとに可能な限りの英語試験を一覧で比較できるようにしてみました。
あくまでも参考値のため、受験者の能力などによって多少の差異はありますが、勉強をする上での参考にしていただけたら幸いです。
各種英語試験の難易度
メジャーなものでも、TOEIC、TOEFL(iBT/CBT/PBT)、IELTS、英検、国連英検など数多く英語試験は存在します。すべての英語試験をまとめることはできませんが、ここでは、英検、TOEIC、IELTS、TOEFL iBT、TOEFL CBT、TOEFL PBT、Cambridge、TOEIC LPI、国連英検、通訳ガイド試験、観光英検の難易度を表にまとめてみました。この他にも工業英検、児童英検などなど挙げればきりがないですが、ここまでまとめれば8割ぐらいの試験はカバーできているのではないでしょうか。
なお、国連英検については別途記事で難易度について解説していますので、併せて参考にしてみてください。
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国連英語検定の難易度・合格率まとめ
こんにちは。英語学習をしていると、国連英検というのを聞いたことがあるのではないでしょうか。TOEIC、英検、TOEFLなどと並んで日本では比較的ポピュラーな英語試験です。聞いたことはあるけれど、国連英 ...
各種英語試験の難易度まとめ表
※ページの最後に各試験難易度に関するアンケートを設置したので、よかったら回答していただけると幸いです。
なお比較に関してはサイトによって若干差異があるものの、おおむね上記の範囲で相違はないと思います。TOEFLの受験形態別の比較は公式サイトでも紹介されているので、TOEFLのみの比較であればかなり正確に比較ができてると思います。英検に関しても試験の際に、他の英語試験のスコアをアンケートでとっているため、ある程度信頼性のある比較になっていると思います。そのほかに関しては、様々なデータから比較されていますが、受験者の能力によっては上記と異なる見解になる可能性はあります。
なお2012年より当ブログでアンケートを行った結果(現在も受付中)、サンプル数は少ないがやはり一番難易度が高いと認識されている試験は英検で、次がTOEFLのようです。その他の英語試験とアンケートを別にしてしまったので、単純比較はできないですが、英検、国連英検は同程度、TOEFLとIELTSは同程度の難易度のようです。観光英検が国連英検の次に難しいと回答されているのが不思議でしたが。
各英語試験への個人的見解と目標レベル
さて、ここから本題、というか自分の意見ですが、自分は英検、TOEIC、TOEFL iBT、国連英検、観光英検を受験済みです。この範囲内での見解にはなりますが、最も役立つと思える試験は英検です。以前はTOEFL iBTをダントツで推していたのですが、日本にいる以上、日本で評価される試験でなければ意味がありません。そうなってくると、必然的にTOEIC、英検の2択になってしまうのですが、4技能(聴く、話す、読む、書く)に対応している英検に軍配が上がります。目標としては英検準1級以上は持っているとよいでしょう。ということでここから先は、個人的に有用だと思える順に各試験の特徴を書いていきます。
英語検定試験
英語学習入門者にとって、なかなかTOEICやTOEFLといった試験はハードルが高いものです。上記に挙げた試験のうち、英検、国連英検、観光英検以外はすべてのレベルが一緒に測定されるため、受験者によっては試験で難しい問題にあたることで、本来の能力を発揮できない場合もあると思います。
また、英語検定試験は4技能(聴く、話す、読む、書く)の測定が可能になっているため、能力が偏る心配もありません。最近は英検協会も試験内容の改革に乗り出していて、スピーキング試験も5級から導入されるようになりました。英語を学習していて、自分の立ち位置が知りたい場合、まずは英検を受けてみるのはよいかもしれません。
実際に使えるレベルがどのぐらいかですが、最低でも準2級はあるとよいでしょう。準2級程度持っていれば、最低限の会話や英語でのやり取りが可能です。ただ、難しい言い回しや、英語ニュースを読むにはまだまだ足りません。目標としては準1級以上、可能であれば1級は欲しいところです。準1級程度あれば、ビジネスシーンでもある程度英語を使うことができます。特に最近は英語圏よりもむしろ、非英語圏の人たちとの取引が増えています。ノンネイティブの人たちとやり取りするのであれば、準1級程度あればかなりのやり取りが可能になります。
ただし、他のTOEFLやTOIECと比較すると試験時間が相対的に長めに感じました。そのため、英語レベルとしては上記の換算表と差異がなくても、実際に英検からTOEICやTOEFLに移った場合、最初は試験の時間になれる必要があるかと思います。
なお、英検の場合、各級の間のギャップが広すぎると、次のレベルに到達するまでスランプに陥る可能性があります(実際自分が2級から準1級、準1級から1級までの間スランプでした)。そうなるとモチベーションを保つことも難しくなるため、準2級以上に到達したら、TOEICも一つの指標として受けてみるのもよいと思います。
TOEFL iBT
その次に実践・実力面で最も有用だと思えるのが、TOEFL iBT試験です。もちろんスコアにもよりますが、TOEFLは北米への留学を目的とする人たちのための英語力試験になります。内容は大学での利用場面を想定したものが中心となり、英文もアカデミックなものが中心となります。主に北米の大学、大学院で海外の学生の英語力を判断するために使われている試験で紙ベースのPBT、コンピュータベースのCBT、そしてインターネットベースのiBTへと進化・改良を重ねてきています。そのため、英語能力を図る精度としては最も高いと個人的には思っています(近年、英検やTOEICも改革を進めていますが)。
TOEFL iBTはすべてコンピュータで試験が完結するようになっていて、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能が測定できるようになっています。総試験時間は約4時間超にも及び、英語試験の中では最も過酷な試験かと思います。基本的には各技能の能力がそれぞれ測定されるようにセクションが分かれていますが、各セクションではその他の技能を応用しなければ解けないよう名問題が多々あるため、一部の技能に特化して能力を伸ばしたとしても、到達できるレベルは限界があります。例えば、ライティングセクションでは教科書の内容サンプルを読み、レクチャーのサンプルを聞き、内容をまとめなければいけません。これはライティングのスキルはもちろんですが、リスニング、リーディングの能力もそれ応の身に着けていなければ、回答ができないようになっているのです。また、大学での授業についていけることを目標としているため、各試験の回答時間は非常に短くなっています。※実際には短くはないのですが、試験のための試験ではなく、その先の実践が前提ですので必然的に実践で最低限必要な速度になっているのです。
目標レベルとしては、各スキルバランスよく伸ばしたうえで、iBTで80点以上取れるとよいでしょう。iBTでの80点以上はアメリカの大学での一般的な足切りライン(それ以下の大学も存在しますが)とされており、このレベルがあれば、あとは英語以外の能力でアメリカの大学へ留学が可能になります。一流レベルの大学(ハーバードやスタンフォードレベル)になると110点以上求められることもありますが、カリフォルニア大学レベルの大学であっても、85点~100点前後あれば合格できるようです。アメリカへ大学をしない人であっても、一つの目安として80点以上を目指してみるとよいでしょう。
なお、上記のスコア表では英検4級がTOEFL iBT 28点レベルとなっていますが、個人的には非常に懐疑的です。4択問題であれば、4/120で適当に回答したとしても30点は取れる計算ですが、前述のとおり、TOEFL iBTはスピーキング、ライティングスキルも求められています。そのため、個人的には取れて20点程度が限界ではないかと思っています。
TOEIC
個人的な印象としては、TOEICは慣れれば比較的簡単な試験になると思います。ビジネスシーンでの利用を想定して作られているため、実践的な内容が中心になっています。ただ英語自体の難易度はそこまで高くないように思えます。もちろん満点を取るためにはそれなりの英語能力が必要になりますが、TOEICで900を超える程度であれば、ある程度反復練習で対策をすればそこまで難しくないように思いました。実際にTOEIC満点を取っている人たちも英検1級ではそれなりに苦戦をされています。私自身についていえば、TOEICでは925点ありますが、TOEFLでは85点にとどまっています。上記の表通りであれば、90点以上取れてもいいはずなのですが(苦笑)。
ただし、TOEICはTOEFL同様実践での利用を想定して作られているため、試験時間は短めに設定(同じく短いのではなく、実践では最低限このレベルは必要)されています。そのため、こちらも同じく英検からTOEICへ移ってきた場合、最初は慣れることが大切になります。
目標としては最低でも750点以上、できれば800点以上は欲しいところです。多くの企業でも750点以上を望ましいレベルとしています。利用シーンが限定されている場合は、600点前後でも十分使えますが、多少の応用が求められる場合、やはり750点以上はないと、とても苦しむことになると思います。なぜ企業が750点レベルを求めるのかというと、750点レベルあれば、実践を重ねることで自然に英語が身につき、向上していくことが見込めるからです。500点以下ですと、なかなか自然に伸びていくというのは厳しいように思えます。
なお、TOEICはスコアで英語レベルが測定されるため、受験するたびにスコアが伸びることも現実的にあり得ます。英検の場合、各級のギャップが広すぎるとスランプに陥る可能性があります。英検準2級程度の達したら、TOEICもレベルチェックの一つとして受けてみるのもよいと思います。
国連英検
ここから先は、若干英語のみではなく、その他の専門知識も必要とされる試験になります。まずは国連英検から紹介していきます。国連英検は若干専門的な内容も含まれてくるため、単純に英語のみの勉強だけでは合格は難しいと思います。私はA級を受験しましたが、試験内容は文法問題が中心な感触を受けました。英文は時事問題や国連に関連する世界の情勢に関する設問が多く、また最後のエッセイは国連での日本の立場について論述するものとなっていました。
難易度としては、英検準1級保持時点でA級に僅差で不合格となりましたので、準1級以上であればA級は狙える範囲だと思います。特A級となると、国連英検のウェブサイトからもわかる通り、英検1級以上の英語力がないと厳しいかもしれません。実際私は2次試験まで進んでいないので、詳しいことはわかりませんが、国連英検はコミュニケーション能力にフォーカスを当てた試験だといわれています。したがって、単純に読解力のみではなく、スピーキングスキルを伸ばさなければ合格は厳しいでしょう。
国連英検は一部では知られていますが、広く一般企業に認知されているわけではありません。一部、日本の外務省でもアソシエートエキスパートの選考試験として、国連英検を指定されていますが、就職活動などで利用するというのであれば、話題程度にしかならないかもしれません。ただ実際に就職活動などで使うのであれば、最低でもB級以上、できればA級は取っておいた方が良いでしょう。特A級レベルとなると、場合によっては英検1級よりも難しいといわれるので、持っていれば非常に強い武器になるはずです。
観光英検
こちらも英語以外の専門的な知識が必要となります。ただ、英語自体のレベルとしてはそこまで難しいものではありません。観光英検2級は、英検2級レベルか若干優しい程度かと思います。しかし、日本国内の歴史、地理、観光知識が必要とされますので、英語を知っているだけではなく、日本の社会も知っていなければ、合格は難しいでしょう。
私自身、そこまで日本の地理に詳しいわけではありませんが、2級に関しては、英検2級レベルの知識と一般常識程度の社会知識で合格できました。英語力としては、英検2級レベル、社会知識は一般常識程度であれば、そこまで苦労せずとも合格できると思います。1級となると、もう少し社会知識なども身に着けておく必要があるかとは思いますが。
ただ実際、観光英検が社会で役立つかと言われれば、かなり疑問ではあります。観光業界であれば、無いよりはあった方が良いかとは思いますが、持っているからと言って特段強みになるということはないように感じます(あくまでも個人的見解です)。どうせ挑戦するのであれば、次に紹介する通訳案内士を目指した方が良いと思います。通訳案内士の前哨戦としては使えるかもしれません。
通訳案内士(通訳ガイド)
観光に関する英語試験としては、他に通訳案内士(通訳ガイド)試験があります。英語関連資格唯一の国家資格ともいわれ、また英語のみではなく、他の言語(フランス語、スペイン語、中国語など)での受験も可能です。が、ここでは英語に特化して紹介したいと思います。私自身、受けたことはないので、下手なことは言えませんが、国家資格、そして実用性にフォーカスを当てているということもあり、英語はかなりのレベルが要求されます。筆記試験と面接試験とに分かれているのですが、筆記試験に関しては、TOEIC840点以上、英検1級を持っていれば免除されます。
ただ、あくまでも「観光ガイド」試験ですので、面接(口述試験)は免除されません。口述試験では通訳問題、プレゼンテーション、そして質疑応答の3セクションに分かれています。通訳問題は日本語で読み上げられた文章を、聞き終わったら英語に訳すというものです。
次にプレゼンテーションですが、3つのカードから一つトピックを選んで、30秒の準備後、2分間のプレゼン(スピーチ)を行います。内容は日本の文化や歴史に関するものが中心になるようです。そしてその後、プレゼンテーションの内容に沿って質疑応答が続きます。
これらの3セクションにうまく回答できれば晴れて通訳案内士になれるのです。もちろん、通訳案内士になるためには、英語以外の科目(日本地理、日本歴史、産業・経済・政治および文化に関する一般常識)の筆記試験に合格する必要がありますが、それらは日本語で受験が可能です。受験料は11,700円(2017年現在)と高めではありますが、国家資格ですので、取っておいて損はない資格かと思います。私も、いずれ挑戦したいと思っています。
※上の表は様々なウェブサイトを参考に多少手を加えて作成しました。