単語力は英語の基礎です。ボキャブラリーが増えれば表現が豊かになり、細かいことまでコミュニケーションが可能になります。しかし、単語を一つ一つ覚えるのは非常に地味で大変な作業です。人によって記憶力が違うため、簡単に覚えられる人もいれば、なかなか覚えられない人もいます。ここでは英検1級に合格した私が活用した単語の記憶方法を紹介します。
英単語を効率よく覚える方法
英検1級合格には約12,000~14,000単語が必要といわれています。私自身、英検1級合格に一番苦労したのが英単語です。苦労しながらも工夫を重ね、無事に合格することができました。その結果、効率よく覚える方法は次の5つだということを発見しました。
- 時間をかけないこと
- 一日に複数回単語に触れること
- 派生語や関連語も一緒に覚える
- あいまいに覚える
- 例文などと一緒に覚える
単語を記憶するためにはいくつかのコツがあるのでそれらを具体的に見ていきましょう。
1.時間をかけないこと
まず、大事になるのが時間です。皆さんは単語を覚えるのにどれだけの時間をかけていますか?またどのようにして英単語を覚えていますか?単語帳だったり、ノートに書いて覚えていたり。人によって方法は異なるでしょう。しかし、時間をかけるよりも、短時間でもいいので複数回単語に触れるほうが記憶が定着します。
また、一定期間繰り返して覚えることができなければ、一旦その単語を無視して先へ進みましょう。学校の勉強にしろ、英検にろ、TOEIC、TOEFLにしろ、英単語はほぼ無限にあります。ひとつの「なかなか覚えられない単語」に時間をかけるぐらいであれば、その分覚えられる単語を増やしたほうが英語を話せるようになるのが近づきます。
2.一日複数回単語に触れること
単語を覚えるための近道は一日に複数回単語に触れるようにすることです。
皆さんは、エビングハウスの忘却曲線を聞いたことはありませんか?
エビングハウスの忘却曲線とは、時間とともにどれだけ忘れるかを数値化したものです。何かを学んだとき20分後には42%忘れ、9時間後には64%忘れる - Wikipedia より
したがって、一日に1回しか触れないのと、複数回触れるのとでは忘却率が大きく異なってくるのです。1日で半分以上忘れてしまいますので、1日に2回勉強すれば、それだけ定着率が向上します。
私自身、朝起きてから単語を軽く確認し、通勤時間などに英字新聞などの英文で英語をインプット、帰宅後ノートに書き記して記憶という形で、1日3回ぐらい触れるようにしていました。結果、定着率は格段に向上し、1か月で500単語ぐらい覚えられるようになりました。
3.派生語や関連語も一緒に覚えよう
接頭語や接頭辞を覚えよう
次に重要なのが単語の前や後ろにつく接頭語や接尾語です。英単語は接頭辞、接尾語などで意味が追加されていきます。例えば、strength(強さ)に接尾語enをつければ、strengthen(強化する)や、cool(冷やす)に接頭辞pre(予め)をつけることでpre-cool(予冷)といったように意味が変わってきます。
最初のうちは慣れないとなかなか難しいですが、これを身に着けることができれば英単語の数が雪だるま式に増えていきます。この接頭語や接尾語についておすすめの本がありますので、単語がなかなか覚えられないという方は一度購入してみてはいかがでしょうか。
きっと英単語を覚えるのが簡単になります。接頭語や接尾語を覚えれば、一つの単語を覚えるだけで派生語が一緒に覚えられるようになります。
強引にでも意味を関連付けよう
接頭語や接尾語を覚えたら、次に行うことは意味を関連付けることです。辞書で引くと、派生語なのに一見意味が全く異なるように思える単語が出てきます。例えば、distinguish(区別する)という単語ですが、edをつけると(distinguished)、過去形とは別に、形容詞で「際立って優れた」という意味になります。一見、全く異なり、関連性が内容に見えますが、考え方を変えると関連性が見えてくるのです。
distinguish(区別する)という意味を強引にdistinguishedに当てはめると、「ほかの人と明らかに区別できるほど優れている。凡人とは異なる」といった形に「distinguish」を使って意味が説明できるようになります。このように、動詞から形容詞ができるようなケースは辞書を引くと、関連付けが難しい訳が出てくることもありますが、無理やりにでも自分の頭の中で関連付けをできるようにしましょう。このように考えると、派生語が「異なる単語」ではなく、「派生語」として簡単に覚えられるようになります。
意味を予測できるようになろう
そして、上の2つを応用するのが、「意味を予測する」ことです。上の2つを身に着けることができれば、初めて出会う単語でも意味を予測することが可能になります。最近では技術の発展やグローバル化によってさまざまな新しい単語が出現しています。その中には辞書に載っていない単語も存在します。しかし、単語の作り方は上の2つを応用しただけですので、これを覚えておけば新しい単語も意味を理解することができるようになるでしょう。
4.あいまいに覚えること
言葉は文化です。文化が違えば、意味も変わってきます。言語は結局のところ完全に翻訳することはできないのです。これがAIが翻訳するのを難しくしている要因です。皆さんは単語を「辞書通り」の意味で覚えることにとらわれていませんか?勿論それは重要なことですが、辞書通りに覚えていると、覚えていない意味の用法で出てきた場合、意味が分からなくなってしまいます。
基本的に完全に訳すことのできるのは名詞ぐらいで、形容詞や副詞は文脈によって大きく意味が変わってきます。そのため、辞書通り覚えるということは一見素晴らしいようで、実は応用が利かなくなってしまうのです。あいまいに覚えることで柔軟性を持たせることができます。同じ単語でも文脈によって多少意味が変わってくるので、必要なのは「辞書通り」覚えることではなく、「文脈から意味を拾う」ことなのです。
5.例文など使い方を一緒に覚えること
そして、最後になりますが、1~3に加えて重要なのが、例文など使い方を一緒に覚えることです。単語集を使っている場合は、可能な限り例文の載っている単語集を選ぶようにしましょう。一定以上の英語力がついたら、洋書や英字新聞などを読むようにし、覚えた単語がどのように使われているかを確認する習慣づけをするとよいでしょう。
まとめ
英検準1級ぐらいまでの単語であれば、英語ニュース、英字新聞、洋書など一般的に使われている単語がほとんどです。そのため、覚えたら目にする機会を増やすようにすることで記憶の定着にもつながります。準1級とはいえ単語量は約7,000あります。はじめのうちは完璧に覚えないと、先に進むことを躊躇してしまうかもしれませんが、一つの単語にあまり時間をかけていてはいつまでたっても英語は覚えられないでしょう。
覚えられない単語は忘れ、どんどん先に進んでいきましょう。
時間をかけず、一日に複数回、異なる媒体で単語に触れるようにしましょう。それが英単語を覚える近道です。