英、仏、中、西、剌、日の6か国語習得し、マルチリンガルを目指すブログ。英検1級、TOEIC 925、仏検準2級、中検3級達成。

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World Englishesって何?グローバルな英語力をつけるために

こんにちは。皆さんはWorld Englishesという言葉を聞いたことはありますか?Englishes?えっ?スペル間違ってなくない?いいえ、これで正しいのです。英語といえば、British English(イギリス英語)、American English(アメリカ英語)、Australian English(オーストラリア英語)など様々なものがありますよね。でも、英語を話すのは何もアメリカ人やイギリス人だけではありません。日本人や中国人といった母国語が英語でない人たちが話す英語、それがWorld Englishesなのです。

なんのために英語を勉強している?

ところで、皆さんは何のために英語を勉強していますか?もちろんアメリカやイギリス、オーストラリアといった英語圏へ留学や就職をしたいという目的で勉強している人も多いでしょう。しかし、圧倒的に多いのが就職のためや仕事で使うからという人が多いのではないでしょうか。

では、仕事で英語を使うのはアメリカやイギリスとだけでしょうか?いいえ。それ以上に、中国や韓国、シンガポールなどノンネイティブといわれる国とのやり取りのほうが圧倒的に多いのです。世界で最も話されている言語は英語ですが、ネイティブ(母国語)として話されている数は約4,000万人。対して第二言語としての英語は7,500万人以上に話されています。

これは第二言語としての英語(ESL)のスピーカーですので、外国語(EFL)としての英語を加えればさらに多くなります。

そのため、ビジネスで使う英語といえば圧倒的にESLやEFLの人たちとの取引が多くなるのです。

勿論英語圏(イギリスやアメリカ)の人たちとのビジネスもありますが、それ以上にノンネイティブの人たちとビジネス・コミュニケーションをとるために英語を学ぶというほうがより現実的になってきているのです。例えば2017年の統計では日本の貿易相手国は下記の通りになっています。

2017年度貿易相手国上位10カ国(財務省貿易統計より作成

2017年度貿易相手国のネイティブ・ノンネイティブの割合(財務省貿易統計より作成

上記のグラフからわかるように、ノンネイティブ国との取引のほうが圧倒的に多いのです。ちなみに、国の数で分けると8対2でノンネイティブ国のほうが多くなっています。

ESL・EFLの違い

シンガポールやインドなど第二言語として英語を話している人たちのことをESL(English as a second language)と呼び、日本や中国、韓国のように外国語として英語を話している人たちのことをEFL(English as a foreign language)と呼びます。

World Englishes って何?

では、World Englishesとは何なのでしょうか?World Englishesとは、まさにノンネイティブの人たちによってはなされるあらゆる英語のことをまとめてWorld Englishesといいます。日本人や中国人、台湾人といったノンネイティブの人たちが話す英語は、それぞれの国の文化や言語的背景を理由として特徴があります。

例えば、日本人の英語は L と R の発音が苦手だとか、

インド人の英語は、doesn't it ?や aren't they を使わず、すべて isn't it で話すとか、

韓国人の英語は P と F の発音が苦手だとか、

母国語の数だけ英語が分かれています。前項で述べたように、世界の英語人口はすでにノンネイティブの人たちのほうが圧倒的に多くなっています。

それでもネイティブと呼ばれる人たちから、ノンネイティブの人たちの英語は「間違い」であると指摘されてきました。しかし、「間違い」であるにも関わらず、ノンネイティブの人たちは国を超え、「英語」を使ってコミュニケーションをとっているのです。そのように、ノンネイティブの人たちによって使われる、活きた英語のことを総称してWorld Englishes複数形で呼んでいるのです(World Englishes, English as an International Language and Applied Linguistics)。

World Englishesで重要なのはコミュニケーション力

そして、World Englishesで重要なのは相手を理解する力、つたない英語でもコミュニケーションをとれる「コミュニケーション力」が重要なのです。例えば最近話題になった、アメリカ大統領へ質問を行った日本人記者の英語ですが、

確かに発音はネイティブの人たちから言わせれば、きれいな英語、聞き取りやすい英語とは言えないでしょう。しかし、日本人の方は彼の英語を聞き取れたのではないでしょうか。

グローバルな英語力をつけるにはどうすればいい?

グローバルな英語、World Englishesを身に着けるには相手国の文化、そして理解しようとする気持ちが大切になります。文化、母国語の違いを乗り越えてコミュニケーションをとるには文脈から推測することが重要になります。

これは英語と違い、相手の気持ちを汲み取ることが求められている、日本人には得意な技なのではないでしょうか。

グローバルな英語力をつけるために大切なのは、

様々な英語を聴くことです。

アメリカ英語とイギリス英語が慣れていないと聞き取れないのと同じように、World Englishesも特徴になれていないと聞き取る・理解することは難しくなります。World Englishesを身に着けるためにも、様々なバックグラウンドを持った人たちと英語を使ってコミュニケーションをとるようにしましょう。

例えば、英語圏に留学していても、ネイティブの人たちや日本人とだけ交流するのではなく、ほかの国(中国や韓国、フィリピンなど)様々な国の人たちと交流を持つようにしましょう。文化圏が近いと、日本人と同じような英語の使い方をしていることに気づくことでしょう。

そして、発音に癖があってもすぐに理解できるようになるでしょう。

おすすめの参考書

ここで紹介したWorld Englishesについてさらに詳しく知りたい方には下記の書籍をお勧めします。

たかが英語!

2012年に発売された「たかが英語」こちらは、楽天が社内公用語を英語にするにあたり書かれた本です。楽天のCEOである三木谷氏は楽天で使う英語をGlobal English=Globishとして紹介しています。定義は若干異なりますが、いわゆるWorld Englishesについて書かれた本で、非常に読みやすいのでおすすめです。

楽天の目指しているのは、「ネイティブ」としての英語ではなく、「ノンネイティブ」としてコミュニケーションの取れる英語なのです。

World Englishes - 世界の英語への招待

こちらも同じく2012年に発売された本です。副題にもあるように世界の英語を多く紹介しています。イギリス英語、アメリカ英語といったネイティブの英語だけでなく、インド、東南アジア、アフリカなど世界各国の英語の特徴をまとめた本になっています。

World Englishes、Global Englishを身につけたい方はこの本を読んで各国の英語の特徴を理解すれば、より世界の人々とのコミュニケーションがスムーズになるでしょう。

English As a Lingua Franca: Attitude and Identity

こちらは洋書になりますが、World Englishesについて世界的な研究者であるJennifer Jenkins氏によって書かれた書籍です。少々専門用語が多くなるので、読解は難しいですが、世界における英語の変遷について学べる非常に良い本です。

まとめ

World Englishes、いかがでしたでしょうか。日本ではいまだにネイティブ(アメリカ英語)至上主義のような考え方が主流ですが、英語はすでにネイティブのものではなくなってきています。ビジネスをする上でも、英語圏よりも非英語圏の人たちと英語を使って取引をするほうが圧倒的に多いでしょう。

勿論、正しい英語、きれいな発音で話すことは大切です。しかし、重要なのは発音や文法よりも、いかに相手に伝わるか、そしていかに相手を理解するかです。

発音がきれいにできないからといって、気にする必要はありません。それよりも、英語を使って世界の人たちとコミュニケーションが取れることの楽しさを体感しましょう!

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