※2018年にリニューアルされた英検CBTは本ページで紹介しているものとは内容が異なって実施されています。本ページの内容はどちらかというと英検TEAPの内容になりますのでご注意ください。
日本英語検定協会は英検の改革を推し進めています。その改革の一つとして、話す・聞く・読む・書くの4技能すべてをコンピューター上で完結できる4技能CBT(Computer Based Test)の運用が来年2018年度から予定されています。四技能CBTは現行の英検CBTの代わりとして位置づけられており、将来的には英検CBTはすべて4技能CBTへと移行する予定とのことです。その開発最終段階として一般人によるサンプル試験が行われ、本日サンプル受験者として皆さんには先行して4技能CBTを体験してきました。従来の英検CBTを受験したことがないため、厳密な比較はできませんが、率直な感想としては、試験形式、試験内容ともに、よりTOEFL iBTへ近づいたという印象でした。TOEFL iBTへ近づいたのはうれしい反面、従来の英検の良さが失われているような気もして、少々残念でもあります。本日の試験はあくまでもサンプル試験のため、実際に来年度運用される前には改良され、内容も変わる可能性はありますが、参考までに試験内容、形式などを紹介できればと思います。
なお、英検CBT対策については別記事にまとめてあります。気になる方は合わせて確認してみてください。
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4技能CBTの構成
本日行われたのはサンプル試験のため、採点対象ではなく、合否判断やスコア開示も有馬園でした。また試験自体も「システム」の確認が主目的だったらしく、試験時間は約半分に短縮、スピーキングセクションを除き、全セクションで回答時間が足りなくなるよう設計されていました。しかし、今回受験者役として参加することで、4技能CBTの概要も見えてきたので紹介できればと思います。
試験構成は4技能CBTとある通り、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能のセクションで構成されていて、すべてを1日で完結できるよう設計されています。受験級がわからなかったため、受験級によって変わる可能性はあるものの、サンプルの受験票ではリーディング、リスニングは午前中、ライティング、スピーキングは午後に行われるとの記載がありました。各セクションの試験時間はリーディングが30分、リスニングが50分、休憩時間を挟んで午後からライティング60分、再度本人確認を経て、スピーキング30分という流れて構成されていました(もちろん本日の試験はすべて半分に短縮されていましたが)。
4技能CBTの試験内容・試験形式
英検協会の案内からは、従来の英検同様難易度別に4技能CBTが行われることが読み取れます。英検協会の案内ではまずは2級、準2級、3級からの開始を予定と書かれています。本日行われたサンプル試験では、受験級の表記はありませんでしたが、難易度から察して少なくとも2級以上、1級未満前後の英語力が要求される試験内容でした。試験はすべてコンピューター上で完結できるよう設計されており、全セクションで音声による案内が含まれているため最初からヘッドセットを使っても名地を進めていくようになっていました。
受付で本人確認、受験席の確認が行われ、指定された席へ移動し待機します。試験内容の案内があり、ログインIDとパスワードが配られるのでその内容に従ってパソコンでログインをします。IDとパスワードが記載された紙はメモ用紙としても使うことが可能となっていました。筆記用具は配られず、持参となります。
リーディング - 30分
まず最初に来るのが従来の試験同様、そしてTOEFL iBTとも同じリーディングセクションでした。リーディングセクションは従来の英検同様いくつかの大問に分かれていて、最初は短文穴埋め問題、次に長文穴埋め、長文読解の順で構成されていました。内容としては従来のものよりもより学術的な内容のものが増えている印象ではありましたが、一番変化が少なかったのがリーディングセクションという印象でした。
リスニング - 50分
リスニングセクションは大きく変化していました。内容に関してはよりアカデミックな内容に変わっていて試験形式からもTOEFLのリスニング問題を解いているのではないかと錯覚するぐらい類似していました。難易度や英語のスピードでいえばTOEFLよりは易しく、ゆっくりではあるものの内容に関してはよりTOEFLに近づいているという印象でした。従来の英検同様、短文リスニング、会話形式、長文リスニングと分かれていましたが、内容はいずれもキャンパスライフでの会話を想定して作られたもの、大学でのレクチャー形式のものというように変わっていました。レクチャー形式のものは、グラフやチャートなどといった参考資料とレクチャーの内容を聞き、問いに答えるといった単にリスニングのみの能力ではなく、複数の資料を基に答えを選び出すより応用的、実践的な内容になっていました。
ライティング - 60分
従来の英検では、ライティングは準1級以上からで、準1級はe-mailや手紙などの返信、1級はエッセイという形で試験が行われていました。しかし今回体験した4技能CBTでは友人間でのメール、チャットなどの返信、フォーマルなe-mail、図画描写問題、そしてエッセイ・サマリーという4部構成になっていて、より高いライティング能力を問われるようになっていました。
ライティングの中でも最も大きく変わったのが図画描写問題、そしてエッセイ・サマリー問題です。図画描写問題はグラフやチャートが表示され、その内容を100語弱の文書で説明するというもの、そして最後がパッセージを読み、レクチャーを聞き、内容を要約したうえで、自分自身の考えを書き出すといったものになっていました。特に最後のパッセージ・レクチャー要約&エッセイ問題はTOEFLのIntegrated Writingセクションと酷似していました。求められる文書はサマリー、エッセイそれぞれ100語弱となっていて、TOEFLのものと比較すると短めとなっています。
難易度としては前半のメール問題は準2級から準1級の間でも十分対応できる内容になっていますが、最後のサマリー・エッセイ問題は準1級以上のレベルがなければ非常に難しいものになると思います。また、ライティングスキルのみではなく、リーディング、リスニングのスキルも併せて必要となるため、4技能のいずれかがずば抜けてできるだけではもはや英検の合格は難しいものとなるでしょう。
スピーキング - 30分
最後に来るのがスピーキングセクションです。個人的なことを聞くセクションから、パッセージを読んで、グラフと比較し、矛盾点を指摘するといったTOEFL的なものまでの問題で構成されていました。スピーキングセクションが始まる前に2度目の本人確認が行われ、本人確認の後再度PCでログインをし、試験を始めます。まずはマイクテストがあり、Helloと話し続けるといった、なんとも非常にやりにくいマイクテストでした(笑)。TOEFLの場合は特に言葉は指定されておらず多くの受験者が“I'm from Japan”などの短文でマイクテストを行っていましたが^^;。マイクテストの後、採点対象外のウォームアップ問題がありました。ここでは個人的な非常に簡単な質問がされ、スピーキングセクションに入る前の準備運動ができるようになっていました(笑)。
その後、採点対象の試験に入っ行きますが、問題はパーソナルクエスチョン、キャンパスライフでの受け答え、パッセージとグラフを読み取り、矛盾点を指摘、そして最後がレクチャーを聞き、グラフ・チャートを読み取り内容を要約し、自分の意見をスピーチするといった高度なスピーキング問題で構成されていました。
パーソナルクエスチョンでは準備時間はなく、質問の後にすぐスピーキング録音が始まります。パーソナルクエスチョン以外では準備時間が数秒用意されていて、そのあとスピーキング録音が始まるようになっています。難易度も準2級レベルから1級レベルのものまでと幅広い問題で構成されていました。
4技能CBTの感想
来年度から4技能CBTが始まり、まずは2級、準2級、3級を対象に予定されています。本日サンプル受験した感想としては、試験の内容はよりアカデミックになり、形式も複数の資料を基に回答しなければいけないものなどができ、より応用力、そして実践力を問われる形式になっていた。試験構成も4技能すべてを一日で完結できるようになり、またライティング、スピーキングに関してもコンピューターに対して入力、話すといったものとなっている。ライティングに関してはコンピューターでも、紙でも大差はないと思うが、スピーキングに関しては個人差が結構顕著に現れるのではないでしょうか。個人的に英検の面接試験は結構気に入っており、面接官との相性であったり、実際の試験に入る前のウォームアップ?的な会話から導入されるため、とても気に入っていた。
また、人間が試験官であるため(もちろんCBTでも採点は人間が行うことになるが)、問題によっては発話時間が短くなったり、長くなったりしても多少は応用で対応が可能である(と信じたい)。しかしCBTでは発話時間が決まっており途中でやめることも、延長することもできないため、あまり短すぎると採点に大きく影響を与えかねないし、長すぎても(たとえ内容が良くても)途中で強制終了されてしまうため、発話が途中で終わってしまう。そのためスピーキングの内容はもちろん、発話時間に関してもより注意を払わなければいけなくなるでしょう。
試験問題に関していえば、従来の英検はTOEFLとTOEICの中間的な内容であった印象にたいし、新4技能CBTはよりTOEFLに近づいてしまっている。今回の改革が大学入試での英語4技能化に対応するためということなので、少々仕方ない部分はあるかもしれないが、従来の英検には非常に面白い試験が多くあり、非常に楽しませていただいていた。もちろんアカデミック化することが悪いわけではないが、せっかくTOEICとTOEFLの中間的な存在が薄くなってしまうのは非常に残念である。
逆に将来的に海外の大学への進学を考えており、いずれはTOEFL、IELTSなどの受験を考えている人にとっては、TOEFL、IELTSの前哨戦のような位置づけとして英検4技能CBTを受験できるのでよいかもしれない。まだ始まっていないため、受験費用などは不明ではあるが、TOEFLやIELTSの受験が200ドル以上もかかるのに対し、英検はおそらく高くても1万円弱で収まるだろうから、アカデミックな試験を求めている人にとっては朗報ではないでしょうか。
時代の流れからあらゆる試験がCBT化するのは仕方がないことかもしれません。また、試験にかかわる人件費や効率化、公平性を考えるとコンピューター上で完結できる試験はコスト削減のメリットもあり、より良いといえるかもしれません。ただ、英語はコミュニケーションの道具です。やはり最後は対人とのやり取りで使えなければ意味がないのではないでしょうか。コンピュータに向かって、機械的に話せても、相手の表情を見たり、相手が発話する内容によって柔軟に会話の内容を変えていけるそれが必要だと思います。やはり会話問題はコンピュータに対して話すのではなく、対人で試験を行ってほしいなと思いました。
また、試験内容に関しても、アカデミック化するのではなく、今までの英検の良さを生かし、アカデミックな内容ではなく、様々な分野を幅広くカバーした内容であってほしいなと思いました。
4技能CBTとは
日本英語検定協会は大学受験で英語の4技能化が求められるのに応じ、英検の改革を推し進めている。2015年にはそれまで合否のみで判断していた英語力に加え、英検 CSE スコアを導入し、合否のみではなくTOEICやTOEFLなどのように数値で英語力を把握できるようなシステムを導入している。また、4技能化の要求にこたえるため、従来は3級からであった2次試験を4級、5級でも導入をすると発表している。
日本英語検定協会は英検の改革を推し進めている。その一つとして、4技能すべてをコンピュータ上で試験をできる4技能CBTの運用を来年度から始めると発表しており、そのリハーサル試験の受験者役を一部の英検受験者から募集をしていた。第1回リハーサル試験は7月23日に行われ、第2回は本日8月5日に行われた。受験者役はランダム?に選ばれており、あいにく第1回のサンプル受験は落選してしまったたが、第二回は当選したため、本日受験者役として体験してきた。
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