中国語圏で生活を考えている方にとってHSKは語学能力を証明する試験として最も重要な試験ですね。対して日本で就職する際は大分知名度が上がってきたとはいえHSKは若干の説明が必要だったりします。日本ではHSKよりも中国語検定試験のほうが認知度が高いため、日本で中国語を使って活躍したいと考えている場合は中国語検定試験のほうが有利になります。
このように中国語をどのように活用するかによってとるべき資格は変わってきます。
さて、中国語の試験には有名なもので中国語検定試験(通称中検)やHSK(汉语水平考试)、TECCがあります。今回はそれらの試験をCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に照らし合わせながら難易度などの比較を行ってみます。
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とは、ヨーロッパで2001年に策定された外国語の運用能力を共通の基準で測るための枠組みです。CEFRについての詳細は別記事で紹介していますので、興味のある方は確認してみてください。
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CEFRではA1 初心者からC2 熟練者まで、6段階で言語運用能力を評価しています。目安としては日本で行われている語学試験の1級が大体C1~C2に当てはまります。それでは中国語試験を比較していきましょう。
中国語試験のCEFR対照表
中国語関連の試験はCEFRに対応しているものがHSKのみのため、ほかの資格は各資格の説明欄より判断し表にまとめさせていただきました。HSKに関しては公式サイトの説明によれば、すべての級がCEFRに対応しているとのことです。したがってHSK6級であれば、C2熟練者並みに読み書きが可能だということになります。
CEFR | 中国語検定 | HSK | TECC |
準4級 | |||
A1 | 4級 | 1級 | ~399 |
A2 | 3級 | 2級 | 400~549 |
B1 | 3級 | 550~699 | |
B2 | 2級 | 4級 | 700~799 |
C1 | 準1級 | 5級 | 800~899 |
C2(熟練者) | 1級 | 6級 | 900~1000 |
HSKのCEFR対照表についての意見
しかしながら、HSKのCEFR対応には様々な異論が出ています。まずは中国語検定のサイトでは中検とHSKの対比について、HSK6級が中検準1級程度、HSK1級は中検準1級かそれ未満とした表を公表しています。
中国語検定サイトの中検/HSK比較表はこちら
そのほかにも台湾政府の実施しているTOCFL(華語文能力測験)のサイトや、ドイツの汉语教学协会(Fachverband Chinese)では、HSKのレベルはCEFRに対応していないとして独自の対応表を公表しています。
中国語学習者のコメント
また、多くの中国語学習者がHSK6級とCEFR C2もしくは中国語検定1級は釣り合わないという意見を持っています。
HSK5級取得経験のある方ならすでにお気づきかと思いますが、実際のところHSK5級程度ではC1の水準に及びません。HSK6級にしても、ぎりぎり合格程度の実力だとやはりC1の水準に及びません。 makinomiyaのブログ
I got 278 in HSK5 a few months ago but I would still evaluate my own level as being significantly below what Hanban claims HSK5 corresponds to (C1). I'd say I'm B1-2.
数か月前にHSK5級で278点取得したけど、CEFR のC1よりかは遥かに低いと感じたね。多分B1かB2ぐらいr/ChineseLanguage (掲示板)
このように、日本人のみならず海外の中国語学習者たちもHSKのCEFR対比表はおかしいと感じているようです。中には「中国語は難しいから、学習者があきらめてしまわないように簡単にしてるんじゃね?」といった意見もありました。
なぜHSKのCEFR対照表は簡単になっているのか
HSKが何を根拠にCEFRとHSKを対応させたかはわかりません。同じ中国語圏である台湾もこれに異を唱えています。HSKは2010年にリニューアルされ今の6段階評価へ変わっています。その際に適切な形でCEFRへ対応することもできたと思いますが、何かしらの理由があり現在の形になっているのではないでしょうか。
理由はわかりませんが、確かに漢字を使わない文化圏の人にとって漢字を使った中国語を習得するのはなかなか難しいと思います。現時点ではHSK6級で「中国語をマスター」したといっても反論はできないわけですから、中国語学習者にとってはメリットだと思います。
ちなみにHSKはスピーキングと筆記問題が別になっていますが、CEFRの判定は基本的に四技能で行うことになっています。それを踏まえると、HSKにもまだまだ改善の可能性があると考えられるのではないでしょうか。HSKは1990年に始まり、2010年にリニューアルされています。旧HSKを知らないので何とも言えませんが、日本で英検がCEFRに対応したように、近い将来HSKが異論のない形でCEFRに対応する可能性も十分あると思います。
修正版中国語試験のCEFR対照表
さて、上記の様々な意見を踏まえたうえで、CEFR対照表を策定すると以下の通りになります。
CEFR | 中国語検定 | HSK | TECC |
準4級 | 1,2級 | ||
A1 | 4級 | 3級 | ~399 |
A2 | 3級 | 4級 | 400~549 |
B1 | 5級 | 550~699 | |
B2 | 2級 | 6級 | 700~799 |
C1 | 準1級 | 800~899 | |
C2(熟練者) | 1級 | 900~1000 |
語学試験の比較は評価基準や試験内容が異なりますので、正確な対応はできません。ただ修正版中国語試験比較表は当たらずとも遠からずといったところではないでしょうか。
試験の活用方法
上記の対照表はあくまでも参考にとどめ、様々な試験を受けることがおすすめです。複数受けることでHSKの説明を鵜呑みにすることもありませんし、何よりも語学力がその分伸びます。各種試験はそれぞれ補完関係にあると考えましょう。初級レベルであれば一つの語学試験のみの受験で問題は無いですが、上級レベルになったら複数の試験を受験することをお勧めします。
なお、そんなに受けられないよという方は、中国への留学を考えているのであればHSK、日本での就職で使うのであれば中国語検定を選びましょう。他にも中国語試験はありますが、それらはまた別途記事にします。
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