時間があるときに、たっぷり記事を書いてしまう、アメンボです。自民党が大学入試にTOEFLを導入することを夏の参議院選の公約に掲げるそうです。あと、国家公務員試験にTOEFLを加えるそうです。この記事はそれについて書こうと思います。
個人的にはTOEFLを導入するのは大いに賛成です。ただ、TOEFL iBT ではなく、TOEFL ITP が導入されるのであれば、少し疑問ではありますが。ここでは、TOEFL iBT を導入するものとして話を進めていきます。
ラジオの解説でも言っていましたが、TOEFLの英語は幅が広く、ちょっと勉強したぐらいでは簡単にスコアを上げることはできません。またTOEFL iBT はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能を測定するので総合的な英語力を測ることができます。自分としては英検、TOEICなどよりもより正確に個人の能力を測れるものとして、TOEFL iBT を大きく評価しています。ただ、TOEFL iBT の受験料は現時点で230米ドルと単純に1ドル100円で計算しても、2万円以上かかるので、そう簡単に受験することはできません。しかし、お隣の韓国では170米ドルぐらいで受験できるのです。ですので、日本でもTOEFLの受験者が増えることで受験料がいくらか安くなるのではと自分は期待しています。
また、現時点ではTOEFLは英語圏、特に北米に留学する人のみの英語試験(実際はそういうわけではないが主に)であるので、参考書が非常に限られています。一般的な書店に行ってもTOEICの参考書は山ほどあるのにTOEFLの参考書はあればいいほうで、ないというのが普通(←自分の住んでる地域が田舎だからか?)。TOEFLを受験する人が増えることで、TOEFLの参考書も増えるのではないかと期待しています。
と、まぁここまで自分中心にいいようなことしか書きませんでしたが、ここから自分が懸念していることを書きます。TOEFLを単に導入するだけでは日本人の英語力は伸びないと思います。思いますではなく、断言できます。日本人のほとんどが知っているTOEIC、英語を学習したことなる人は誰もが聞いたことがあるでしょう。今や英検の受験者数に迫る230万人が一年間に受験しています。ところが、日本人のTOEIC平均スコアはリスニング、リーディング合わせて600点に満ちません。また、中学の英語教師の平均TOEICスコアが560点、高校の英語教師といっても650点程度です。このスコアは実際にTOEICを受験して取った方はわかると思いますが、あまり高いとは言えません。実際自分もTOEIC900を超えましたが、全然英語が出来るとは言えないレベルです。
ところが、英語の教師と呼ばれる方たちの平均点が600点強なのです。これでは日本人の英語が伸びるはずがありません。またTOEIC600点をTOEFL iBT のスコアに換算すると大体60点前後ですが、実際にはもっと低くなることが予想されます。そのような英語教師しかいないのに、TOEFLを大学入試に導入したところで、どれだけの人の英語力が伸びるでしょうか。どれだけの人が大学の要求するスコアを出すことができるのでしょうか。せいぜい一部のエリート塾に通うことのできるひとにぎりの人たちに過ぎません。従って、日本人全体での英語力は決して伸びるとは言えないでしょう。
TOEFLの導入以前に、日本人のTOEICのスコアを伸ばす努力をすべきだと思います。TOEICは比較的スコアを伸ばしやすい試験です。また最高点が990点となっており、5点から5点刻みでスコアされるので、非常に楽しくスコアを伸ばすことができます。対してTOEFL iBT は最高点が120点で、1点から1点刻みでスコアされるため、一生懸命勉強しても数点スコア伸びず、モチベーションが続きにくいのも事実です。
TOEICは少し真面目に勉強すれば、誰でも700点や800点、少し努力すれば誰だって900点を取れる英語試験です。そんなTOEICで800点も取れない日本人教師が、大学入試にTOEFLが導入されたからといって、努力するでしょうか。せいぜいTOEFLで60点前後を取れるのが精一杯でしょう。それよりもむしろ下がると自分は考えています。
大学入試にTOEFLを導入する前に、日本の英語教育自体を改革する必要があると思います。少なくとも英語教師と呼ばれる人達に、TOEICで800点を超えてもらうべきだと思います。
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